がん治療への各種取組み がんに関する診療実績(院内がん登録)

胃がん

胃がんの診断、治療、経過観察への流れがわかります。また、久留米大学病院の胃がん診療の実績と特徴を記載しています。

はじめに

1.胃がんの発生、発育について

胃がんとは、胃の中の表面を覆っている粘膜から発生する悪性の腫瘍です。がんの種類(組織型)はほとんどが腺がんですが、まれに腺がん以外の特殊なものが発生することもあります。腺がんのタイプには分化型と未分化型があり、それぞれ特徴が異なります。がんは発育する過程で周囲の正常な部分を破壊しながら広がっていきます(浸潤(しんじゅん)といいます)。胃がんの場合、初期には大きさも小さく粘膜の表面にのみ存在しますが、発育するに従って大きくなり、粘膜の下の深いところに浸潤していきます(深さを深達度(しんたつど)といいます)。胃がんの場合、深達度が粘膜の下の粘膜下層(ねんまくかそう)までにとどまる場合を「早期胃がん」、その下の筋肉の層まで達したものを「進行胃がん」といいます。胃の壁の深いところには血管やリンパ管が多く、この管にがんが浸潤するとその中を通って胃の外にがん細胞が運ばてていきます(転移(てんい)といいます)。当初は胃の周囲のリンパ節から転移をします。転移は進行がんになると多くなりますが、早期がんでも起こることがあります。またがんが胃の壁の一番外側にある漿膜(しょうまく)の外にまで発育すると、周りの臓器(すい臓や大腸等)にまで直接浸潤することもありますし、お腹の中にがん細胞が散らばって発育することもあります(播種(はしゅ)といいます)。

2.胃がんの原因について

不明な部分もありますが、現在明らかになっているものとしては、感染症や生活習慣等があります。感染症として一番問題なのはヘリコバクターピロリ菌です。菌は口から入り胃の粘膜に感染するといわれています。幼少期に感染した場合には感染が持続するといわれており、それによって胃の粘膜の炎症が持続し(慢性胃炎といいます)、その結果胃がんが発生しやすくなると考えられています。生活習慣としては、喫煙や食生活(塩分が多い、野菜や果物が少ない)が影響することがわかっています。また一部のがんには遺伝子が関係している可能性も指摘されています。
※日本人の胃癌の発生率は欧米人の約10倍も高いと言われています。人種の違い、元々日本人のヘリコバクターピロリ菌の感染率が高いこち、塩分摂取量が多いこと等が主な原因として考えられています。

3.胃がんの症状

早期胃がんの場合は症状がない場合が多く、進行胃がんになってもある程度進行しないと症状がない場合もあります。症状はあっても特有のものはなく、上腹部の不快感や痛み、吐き気、食欲低下等です。これらは胃がん以外の色々な病気でも起こるものですので、症状のみでは診断はできません。

※まずは胃がんにならないための予防が重要です。具体的には積極的な生活習慣の改善(喫煙を控える、野菜や果物を積極的に摂取する等)やヘリコバクターピロリ菌の感染があれば除菌治療(抗生物質の内服)の効果が期待されています。

診断

通常胃がんは上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線造影検査(バリウム検査)で発見されます。そして胃カメラの際に病変の一部から生検(粘膜の一部を採取すること)を行い、それを顕微鏡で観察することでがんの診断が確定します(がんの組織型まで)。胃がんが発見されたら、さらに検査を行って病状を詳しく調べます(深達度、転移の広がり、腹膜播種の有無など)。そしてそれらを元に進行度(ステージ)を判定します。

1.上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

口から挿入する太さが約9~10mm位のやわらかい棒状の器具です。食道、胃、十二指腸の途中まで挿入できます。先端には光が出る部分とカメラがついており、中の様子をテレビモニターに映して観察し、正常粘膜や病変部を撮影できます。あてる光の色を変えたり(狭帯域光観察(NBI)など)、粘膜に色のついた液体を塗ったりして詳しく観察できます。また粘膜の一部を採取することもできます(生検)。またカメラのレンズの倍率をあげることにより、粘膜の表面を拡大して観察できるもの(拡大内視鏡)や、先端から超音波を出して、胃の壁の中や外が観察できるもの(超音波内視鏡)もあります。これらの方法で、がんの診断の確定に加え、組織型、範囲、深達度なども高い精度で診断することができます。さらに出血している場合に止血処置や、病変によってはポリープや早期がんに対する内視鏡治療も可能です。検査を開始する前には前処置が必要です。胃の中にある泡や粘液を消す薬を服用後、麻酔薬を服用もしくはスプレーで噴射します。歯科治療等で局所麻酔薬を使用し具合が悪くなったことがある方は使用すると危険な場合があるので、そのことをスタッフへお知らせしていただく必要があります。喉の麻酔を行っても、特に検査を始めてすぐは「オエッ」となりやすく(嘔吐反射)苦しいかもしれません。患者さんの精神状態を含めた体調や体質によりその程度は異なります。どうしても苦しい場合には鎮静剤(睡眠薬等)を注射し、眠った状態で受けるかことも可能です。また、鼻から入る細い内視鏡もあります(太さ6mm程度)。細いため検査は比較的楽に受けることが出来ますが、治療目的や鼻腔が狭い患者さんには使用できず、また画質が通常内視鏡に比較し劣るため、詳しく診断することが必要な場合には使用できません。

2.胃X線造影検査(バリウム検査)

造影剤であるバリウムを服用し、レントゲンをあてて観察する方法です。まず炭酸ガスを発生する発泡剤という粉を服用し、その後にバリウムを服用します。体位変換により胃の一部にバリウムを貯めたり、粘膜の表面に広げたりしながら画面で観察し、必要な部位を撮影します。胃の形や病変の状態を知るのに有用です。最近では主に胃がん検診や手術前の検査として用いられています。検査後に下剤を飲んでいただくようにしておりますが、バリウムが腸の中で固まり、ひどい便秘を起こすことがあります。

3.CT検査

リング状の機械の中に体を通しながら周りから体にレントゲンをあてることにより、体の中の状態を画像化する方法です。胃癌の場合、転移や腹膜播種などがないかを含めて病変の広がりを判定するために行います。詳細な観察のために造影剤という薬を注射しながら行うことが望ましいのですが、造影剤は副作用としてアレルギー症状を起こすことがあったり、腎臓の機能に障害を与えたりします。よって造影剤を使用してアレルギー症状が出たことがある方や、喘息の方、高度の腎機能障害がある方は基本的に使用できません。また高血圧や糖尿病の薬の中で造影剤を投与する場合に注意又は中止しなければならないものもありますので、検査前に伝えていただく必要があります。

4.PET検査

ブドウ糖に類似した放射性同位元素である18F-FDGという薬を注射後に、体内から放出される放射線を検出して画像化する方法です。薬は悪性腫瘍の所に集まり、それが画像上に明瞭に描出されます。胃がんの場合、転移や腹膜播種などがないかを含めて病変の拡がりを判定するために行います。全身を一度の撮影することが出来、人間ドックで使用される場合もあります。CTが併用される場合もあります(PET-CT)。

5.腫瘍マーカー

血液検査で調べられる項目です。胃がんだけに対応するものはありません。胃がんの場合、CEAやCA19-9等が上昇することがあります。しかし、早期胃がんの場合には上昇しないことが多く、進行胃がんでかなり進行した場合でも上昇しないこともあります。また、がんが無くても元々高い方もいらっしゃいますし、特にCEAは妊娠や加齢、喫煙等でも少し高くなる場合もあります。
そのため値が正常だからといってがんがないとは言えません。しかし元々高い方でも値が上昇傾向にあれば、がんの発育に伴うものである可能性を疑う必要があり画像検査が必要です。

※胃がんが発生した場合には出来るだけ早期に発見することが望ましいですが、先に述べましたように早期のものは症状がない場合が多いです。そのため症状がなくても定期的に胃がん検診(バリウム検査、胃カメラ)を受けていただくことは効果的であると考えられます(胃がん検診を定期的に受けられている方は受けていない方と比べて、死亡率が減少することが証明されています)。また先に述べたような症状がある場合は、実際には胃がん以外の病気から起こっていることも多いのですが、症状が長く続いたり、悪化している場合には、やはり検査をうけていただくことが望ましいと思います。

治療

治療法は、基本的には「胃癌治療ガイドライン」(日本胃癌学会が作成してものであり、今までの報告を元にステージごとに一般的に推奨される治療法が示されています)を参考にします。胃癌治療ガイドラインによると、基本的には早期胃がんの中でも非常に早期のものに対しては内視鏡治療、それ以外の早期胃癌と大部分の進行胃がんに対しては手術(+ 化学療法(抗がん剤治療))、特に進行したものに対しては化学療法が推奨されています。しかし実際には、これに加えて患者さんの年齢や他にかかっている病気の状態なども考えた上で、適切と思われるものを選択することになります。またどの治療法にもある程度の確率で合併症(偶発症)が起こる場合や後遺症が起こり得ます。

内視鏡治療

胃カメラを使った治療法で、カメラの先から出せる器具を使って切除する方法です。主に内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。EMRはポリープを切除するときと同様の方法で、リング状のワイヤーを腫瘍の周りにかけて、電気を流して焼き切る方法です。ESDは電気メスを使用して少しずつ焼き切る方法です。EMRは短時間で治療可能ですが、治療できるがんは大きさが小さなもののみとなります。ESDは大きながんでも治療が可能です。対象となるのは早期胃がんの中でもある条件を満たしたものです。内視鏡治療は、胃の中のがんを切除するだけの治療です。そのため治療を行う時点で胃の外に転移がなく、治療後にも転移が発生する危険性がほとんどないことが期待できる状態であることが必要です。治療を行う時点で転移がないことは、CTやPETで確認しますが、治療後に転移が発生する危険性がほとんどないことが期待できる状態であることは、以前国立がんセンター中央病院からなされた報告を元にしています。その内容は、手術を行われた多数の早期胃がんの患者さんの切除されたリンパ節を調べた結果を元に、リンパ節転移がなかったがんの特徴(大きさ、組織型、深達度、潰瘍の合併の有無)を示したものです。切除された時点でリンパ節に転移がなければ、その後も転移が発生する危険性は非常に低いことが期待できます。よって詳しい内視鏡検査を行った結果、それらの特徴を満たすと予想されるものに対しては、内視鏡治療を行うことを考慮しても良いと考えております。しかしまだその根拠は十分ではないとも考えられています。
近年、内視鏡治療を受けた早期胃がんの患者さんの長期の生存率が、手術を受けた患者さんと同等だったとの報告が多くなされるようになってきておりますが、転移が発生した方の報告もあります。現在も研究は進んでおり、まだ検証中の段階ではあります。また、治療により合併症(偶発症)が発生することがあり、主なものとしては、出血や穿孔(胃の壁に穴が開くこと)などがあります。出血が多いと輸血や何らかの止血処置が必要となる可能性もありますし、穿孔後に腹膜炎を合併した際には、緊急手術が必要となる可能性もあります。そして内視鏡治療を受けられた場合、切除した胃がんを詳しく調べた結果が、予想に反してその後にリンパ節転移が発生する危険性がほとんどないとは言えない状態であると考えられた場合には、追加で手術を行うことを考慮しなければいけません。内視鏡治療を受けることを希望される患者さんは、それらのことを十分に認識された上で治療を受けていただきたいと思います。

※体内に金属や心臓ペースメーカーがある場合には電気が流れて支障をきたす可能性があるため、あらかじめ伝えていただく必要があります。

外科治療

開腹もしくは腹腔鏡下に胃および所属リンパ節を切除・郭清する手術を行います。

1.治癒手術における定型手術と非定型手術

1)定型手術:主として治癒を目的とし標準的に施行されてきた胃切除術式を定型手術といいます。胃の2/3以上の切除とD2リンパ節郭清を行います。

2)非定型手術:進行度に応じて切除範囲やリンパ節郭清範囲を変えて行う非定型手術には,縮小手術と拡大手術があります。(1)縮小手術:切除範囲やリンパ節郭清程度が定型手術に満たないもの。(2)拡大手術:① 他臓器合併切除を加える拡大合併切除手術,② D2を超えるリンパ節郭清を行う拡大郭清手術。

2.胃の切除範囲および胃手術の種類

胃がんに対して行われる手術は、切除範囲の多い順に以下のようなものがあります。切除範囲は、がんの部位や進行度によって決定します。
① 胃全摘術:噴門(食道胃接合部)および幽門(幽門輪)を含んだ胃の全切除。
② 幽門側胃切除術:幽門を含んだ胃切除。噴門は温存。定型手術では胃の2/3以上切除。
③ 幽門保存胃切除術:胃上部1/3と幽門および幽門前庭部の一部を残した胃切除。
④ 噴門側胃切除術:噴門(食道胃接合部)を含んだ胃切除。幽門は温存。
⑤ 胃分節切除術:噴門,幽門を残した胃の全周性切除で,幽門保存胃切除に該当しないもの。
⑥ 胃局所切除術:胃の非全周性切除。
⑦ 非切除手術(胃空腸吻合術,胃瘻・腸瘻造設術)

手術後の残胃に発生したがんに対する手術は以下のようなものがあります。
①残胃全摘術:初回手術の術式にかかわらず,噴門または幽門を含む残胃の全切除。
②残胃亜全摘術:噴門を温存する遠位側残胃切除。

3.リンパ節郭清およびリンパ節郭清範囲

がんの進行度に応じて郭清範囲を決定し、D1/D1+/D2を術式ごとに定義しています。

4.再建法

胃切除によって遮断された食物の流れを、作り直すことです。術式により以下のようなものがあります。
胃全摘術後の再建法:Roux-en-Y法、空腸間置法、double tract法
幽門側胃切除術後の再建法:Billroth Ⅰ法、Billroth Ⅱ法、Roux-en-Y法、空腸間置法
幽門保存胃切除術後の再建法:胃胃吻合法
噴門側胃切除術後の再建法:食道残胃吻合法、空腸間置法、double tract法

5.非治癒手術

治癒が望めない症例に対して行う手術で、その目的から緩和手術と減量手術に分けられます。

1)緩和手術(姑息手術):治癒切除不能症例における出血や狭窄などの切迫症状を改善するために行う手術です。腫瘍による狭窄や持続する出血に対し、安全に胃切除が行える場合は姑息的胃切除が行われますが、切除が困難または危険な場合には胃空腸吻合術などのバイパス手術が行われます。

2)減量手術 :切除不能の肝転移や腹膜転移などの非治癒因子を有し、かつ、出血、狭窄、疼痛など腫瘍による症状のない症例に対して行う胃切除術をいいます。

6.腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とはビデオカメラでおなかの中を観察しながら行う手術のことです。 従来の開腹手術では皮膚をみぞおちからおへその下まで切開していましたが、ポートという5〜12 mm径の管を5本前後挿入して、炭酸ガスで腹部を膨らませて行います。前述のように胃を切除・リンパ節郭清し、おへその傷を延長して、臓器を摘出します。その後、再建を行います。
胃がんに対しては、日本では1991年に開始されました。特徴として、傷が小さいため術後の痛みや体への負担が少なく、回復が早いことが挙げられます。手術で最も大切なのは「根治性(=きちんととれること、再発率が低いこと)」であり、また、「安全性(=術後の合併症が少ないこと)」も大切です。腹腔鏡手術と開腹手術とを比較した臨床試験の結果、StageⅠA/Bに対する腹腔鏡下幽門側胃切除術において根治性および安全性が証明され、胃癌治療ガイドラインおよび内視鏡外科診療ガイドラインで、「StageⅠA(内視鏡的治療の適応外であるもの)、StageⅠBまでの胃がんに対する腹腔鏡下幽門側胃切除術は推奨できる(推奨度*B)」とされました。また、同ガイドラインの中で、「現時点でStageⅡ以上の胃がんに対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を推奨する根拠は極めて乏しい」、「早期胃がんに対する腹腔鏡下胃全摘術に関しては前向き試験がなく、推奨度C1」とされています。根治性および安全性が証明されていない術式等はありますが、実施施設は増加してきており、適応について担当医と十分な相談が必要と考えます。また、腹腔鏡下手術は開腹手術よりも近接して拡大視野で行うため、微細な血管・神経を認識しながら手術を行うことができるので、出血量が少なくなっています。但し、腹腔鏡手術は特殊な器械を使用することもあって、手術費用は開腹手術より高額です。(術式により手術費用は異なります)。

*推奨度
A :行うよう強く進められる
B :行うよう勧められる
C1 :行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠はない
C2 :科学的根拠がないので勧められない
D :行わないよう勧められる

7.開腹手術

従来から行われているみぞおちからおへそ前後まで開腹し、直視下に手術を行う方法です。腹腔鏡を用いた鏡視下手術が進歩してきましたが、がんの進行程度、他の臓器の合併切除の必要性といった腫瘍側の要因、および過去の開腹歴(癒着)などといった手術をうける人の要因によっては、開腹手術の方が「手術でがんを取り除く」という目的が達成できます。

化学療法

胃がんに対して抗がん剤による化学療法を行う場面は、大きくわけて、切除不能の進行・再発胃がんに行われる化学療法、および、がん根治術の前後に行われる術前後(周術期)補助化学療法の2つがあります。胃がんの化学療法はここ数年で劇的な進歩を遂げており、切除不能進行・再発の場合でも、平均的な生存期間が延長しただけでなく、従来では切除不能であった高度な転移のある場合でも、化学療法によって腫瘍が縮小し、外科手術による切除が可能となる例も見られるようになりました。

1.切除不能の進行・再発胃がんに対する化学療法

切除不能の進行・再発胃がんに対する化学療法に関しては、新規の抗がん剤が日本でも使用されるようになり、治療成績は向上してきました。抗がん剤には、5-FU系抗がん剤(S-1、カペシタビン)、白金製剤系抗がん剤(シスプラチン、オキサリプラチン)、タキサン系抗がん剤(パクリタキセル、ドセタキセル)、イリノテカン、分子標的抗がん剤(トラスツズマブ、ラムシルマブ)などがあります。これらを組み合わせて投与したり、単独で投与したりします。胃癌治療ガイドラインでは、一次治療、二次治療、三次治療まで提示されており、一次治療はトラスツズマブの効果があるかどうかで選択肢が分かれます。胃カメラで生検(組織を採取する)されたがん組織について、病理検査(顕微鏡検査)を行うことでトラスツズマブの効果があるかどうかが分かります。効果が期待されるものをHER2陽性胃癌、効果のないものをHER2陰性胃癌といいます。HER2陽性胃がんの一次治療は、カペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ療法です(S-1+シスプラチン+トラスツズマブ療法、カペシタビン+オキサリプラチン+トラスツズマブ療法、S-1+オキサリプラチン+トラスツズマブ療法が行われることもあります)。HER2陰性胃がんの一次治療は、S-1+シスプラチン療法が標準治療ですが、(カペシタビン+シスプラチン療法、S-1+オキサリプラチン療法、カペシタビン+オキサリプラチン療法が行われることもあります)、現在の主流はS-1+オキサリプラチン療法となってきています。これらの一次治療の効果が不良となったり、副作用により継続出来なかったりした場合の二次治療は、パクリタキセル+ラムシルマブ療法です。三次治療は、イリノテカン単独療法です。しかし、すべての患者さんがガイドライン通りの治療が出来るわけではなく、病状や年齢に応じた治療が必要ですので、担当医と十分に相談することが大切です。

これらの抗がん剤により治療成績が向上したことで、この項の最初に述べたように、近年、当初切除困難と判断された転移巣が切除可能となるケースが増加しています(コンバージョン:治療方針の転換)。

2.術後補助化学療法

術後補助化学療法とは、治癒切除後の微小遺残腫瘍による再発予防を目的として行われる抗がん剤治療です。2006年、ACTS-GC試験によりS-1の有効性が示されましたので、これが日本における標準治療となり、T3(SS)N0とT1を除くStageⅡ/Ⅲの患者さんが対象となります。手術からの回復を待って、通常術後6週間以内にS-1投与を開始します(ただし、術後合併症等で長期入院となった方は、改善後)。標準量80 mg/m2/日の4週間投与2週間休薬を1コースとし、術後1年間継続します。術後投与では副作用が出現しやすいので、十分な注意が必要です。副作用出現時は、薬剤投与量を減量するか、投与スケジュールを2週間投与1週間休薬に変更するなどの対応を適宜行います。  また、StageⅡ術後補助化学療法やStageⅢ術後補助化学療法における臨床試験が進んでおり、その結果によって、今後の術後補助化学療法は変更される可能性があります。

3.術前補助化学療法

術前補助化学療法は、根治切除可能なStageⅢ胃癌に対し、手術前に行われる抗がん剤治療です。胃切除後は、体重・体力低下のため十分な抗がん剤治療が受けることができないこともしばしば見受けられます。体力のある手術前の抗がん剤治療のほうが、より効果があるのではと考えられ、StageⅢ胃癌の中でも、特にスキルス胃癌や巨大リンパ節転移を伴った胃がんに対し、胃がんそのものや転移リンパ節を縮小させ、手術効果をより高める目的で行われます。しかし、抗がん剤の効果不良であった場合、手術時期を遅らせるだけあり、さらにはがん進行により切除不能となる可能性もあります。さまざまな臨床試験が進んでいますが、まだ標準治療となったものではありません。

放射線療法

胃がんに対する放射線療法は、現在のところ一般的ではありません。実施施設がありますので、その施設に問い合わせて頂くか、主治医に相談して下さい。

院内がん登録情報と治療成績

2013年に久留米大学病院に初発で受診され、当院で初回の治療を受けた胃がんの患者さんは207例です。
久留米大学病院で治療を受けた患者さんの進行度をUICCのTNM悪性腫瘍の分類に従った集計を示しています。ステージごとの治療方法をまとめています。がんが大腸の粘膜または粘膜下層にとどまった状態で発見され、リンパ節転移がない場合(ステージIA)は、約7割弱が内視鏡による治療のみで治療が終了し、それ以外の一部の方に外科手術が行われています。
ステージが進むに従い外科手術に加え薬物療法(化学療法)を併用する割合が高くなっています。
ステージⅣ(肝臓、肺臓、腹膜や遠くのリンパ節へ転移した状態)では、抗がん剤による治療が主に行われます。
外科手術では、開腹手術と腹腔鏡手術が半々ですが、最近は腹腔鏡手術の占める割合が年々高くなっています。

担当部署と専門医

部門 担当医 外来診療
消化器外科
(胃腸外科)
村上直孝 月曜日午前・午後
磯邉太郎 金曜日午前
消化器内科 向笠道太 水曜日午前・午後
井上博人 月曜日午前・午後
進藤洋一郎 木曜日午前・午後
がん集学治療センター 三輪啓介 月・水曜日午前、火・水曜日午後
深堀 理 月曜日午前・午後、金曜日午前
牛島知之 火・木曜日午前・午後
病理部 秋葉 純

患者さんご紹介の際には「紹介予約センター」をご利用ください。
予約専用フリーダイヤルTEL:0800-200-4897、FAX:0800-200-9489
紹介予約センター直通TEL:0942-27-5673、FAX:0942-31-7897

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