がん治療への各種取組み がんに関する診療実績(院内がん登録)

膀胱がん

膀胱がんの診断、治療、経過観察への流れがわかります。また、久留米大学病院の膀胱がん診療の実績と特徴を記載しています。

はじめに

膀胱とは腎臓で作られた尿を貯めておく袋のようなものです。一定量の尿が貯まると尿意をもよおすようになっており、体外へ排出されます。膀胱は平滑筋と呼ばれる筋肉でできた袋状の臓器で、尿が溜まってくると膀胱の平滑筋が緩み、袋が膨張し、膀胱に尿が溜まったという信号が末梢神経から脊髄、大脳と伝わり、おしっこがしたくなります。膀胱に尿をためる量は平均で400 mLためられるとされています。

膀胱がんは、2011年の我が国のがん統計では、10万人当たり男性21.5人、女性4.3人が罹患しており、男性に多く、泌尿器系がんの中で前立腺がんに次いで2番目に多いがんです。年次推移の統計では、死亡者総数は年々増加しているものの、これを年齢で補正した死亡率で横ばいであることより、死亡者の増加は社会の高齢化によるものと考えられます。

膀胱がんの原因として、喫煙が最も重要で、現在喫煙している人は吸わない人に比べ4倍、過去に喫煙した人は2.3倍膀胱がんになりやすいことが分かっています。タバコの煙の発がん物質が、全身を回った後、濃縮されて尿中に排泄され、膀胱の粘膜が慢性的に発がん物質を接触してがんが発生すると考えられています。現在の膀胱がんの患者の約半数は、喫煙が原因であるという統計結果もでており、禁煙が膀胱がんの予防に最も大切です。

症状

肉眼的血尿

初発症状で最も多いのが無症状の肉眼的血尿です。何の前ぶれもなく「突然血尿」が出現します。その後数日で自然に血尿は消失しますが、再び血尿が出現します。それを繰り返していくうちに血液の塊により尿道を閉塞して尿を出そうと思っても出なくなることがあります。 その他には頻尿(頻回にトイレに行く)や排尿時の痛みなどが見られることもあります。

検査・診断

最も大事な検査は膀胱鏡検査です。尿道から細いカメラを挿入して膀胱の中を直接観察します。がんの有無や場所・サイズを観察します。また尿の細胞診断検査も有用な検査です。

がんの疑いがある場合には腹部エコー検査や排泄性尿路造影検査などをさらに行います。

さらにCT検査やMRI検査などを行いがんの広がりや転移の有無を確認します。 また診断のために腫瘍の生検が必要な場合もあります。これは麻酔下に行う検査で痛みなどはありません。

病期(TNM分類)

T分類においてはTaとT1が表在がんで、T2が浸潤がんとなります。 Tisの場合には悪性度が高い部類に属しますので、浸潤がんに準じて治療を行うこともあります。N分類・M分類はそれぞれリンパ節とその他の臓器への転移を示します。

治療

1.外科的治療

外科的治療では表在がんと浸潤がんで治療法が分かれます。

1) 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

一般的に表在がんの場合にはこの手術を行います。腰椎麻酔を行って尿道から内視鏡を挿入して電気メスでがんを切除して取り除きます。手術時間は1時間から1時間半程度です。

2) 膀胱全摘除術

浸潤がんの場合はTURBTでのがんの切除が不十分なためにこの手術の適応となります。全身麻酔下に骨盤内にある膀胱と前立腺・精嚢を摘出します。女性では子宮を同時に摘出する場合もあります。この手術では膀胱を摘出するために尿を溜める袋を作る(「尿路変更術」と呼びます)必要があります。 尿路変更術は主に2つの方法で行っています。

2.放射線療法

膀胱がん放射線療法に比較的感受性があり、主に浸潤がんに行われます。膀胱全摘除術の補助的治療や摘出困難症例に対して行います。また膀胱温存目的に化学療法と併用して行われることもあります。化学療法と併用するとさらに感受性が高くなりより効果がみられます。副作用として皮膚のただれ、膀胱の萎縮、直腸からの出血などが生じることがあります。しかし最近では機器や照射技術の進歩に伴って副作用は随分と減っています。

3.化学療法(抗がん剤治療)

転移がある症例や摘出困難な浸潤がんは化学療法が行われます。また膀胱全摘除術後に行う場合もあります。いずれも抗がん剤を複数使用して行います。従来M-VAC療法という4種類(メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチン)の抗がん剤を使用した方法を行っていましたが、吐き気、食欲低下、白血球減少、口内炎など多くの副作用が生じていました。最近では新しい抗がん剤を用いたGC療法(ゲムシタビン、シスプラチン)といった副作用の少ない治療も行っています。

4.膀胱内注入療法

表在がんが多数ある場合や上皮内がん(T分類のTis)などに抗がん剤(ピノルビン)やBCGを膀胱内に注入して治療します。外来で週に1~2回行います。またTURBT後に再発予防目的で行うこともあります。

院内がん登録情報

2013年に久留米大学病院に初発で受診され、当院で初回の治療を受けた膀胱がんの患者さんは61例です。

久留米大学病院で治療を受けた患者さんの進行度をUICCのTNM悪性腫瘍の分類に従った集計を示しています。乳頭状非浸潤がんまたは上皮内がんであるステージ0の症例が約半数を占めています。

担当部門と専門医

部門 担当医 外来診療
泌尿器科 井川 掌 月・木曜日午前
末金茂高 火・水曜日午前
松尾光哲 水・金曜日午前
西原聖顕 月・木曜日午前
名切 信 火・金曜日午前
陶山俊輔 火・木曜日午前
植田浩介 水曜日午前
築井克聡 月曜日午前
放射線科
(治療センター)
淡河恵津世 木曜日午前・午後
病理部
緩和ケアセンター 福重哲志 水曜日午前午後、金曜日午後

患者さんご紹介の際には「紹介予約センター」をご利用ください。
予約専用フリーダイヤルTEL:0800-200-4897、FAX:0800-200-9489
紹介予約センター直通TEL:0942-27-5673、FAX:0942-31-7897

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