がん治療への各種取組み がんに関する診療実績(院内がん登録)

子宮頸がん

子宮頚がんの診断、治療、経過観察への流れがわかります。また、久留米大学病院の子宮頚がん診療の実績と特徴を記載しています。

はじめに

子宮は解剖学的に子宮頸部と子宮体部に分けられます。子宮の下部、腟に近い部分を子宮頸部といい、子宮の上部、妊娠中に赤ちゃんが育っていく部分を子宮体部といいます。それぞれの部位に発生するがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。子宮頸がんと子宮体がんは、全く性格の異なるがんであり、治療法も異なります。

子宮頸がんは初期には無症状であり、不正性器出血、性交時の出血などで気付かれる場合は既に腫瘤を形成いている場合があります。特に更年期や以前より月経不順のある場合には異常出血と区別がつかず、注意が必要です。腫瘤が壊死となり悪臭のある帯下を自覚される場合には既に進行している場合もあります。また、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮に感染することで発症することが既に明らかになっています。ハイリスクHPVに感染を繰り返した一部の人は、前がん病変(異形成)を経てがんへと進展していきます。

子宮頸がんの組織は扁平上皮がんと腺がんの二つのタイプに大別されます。現在扁平上皮がんは約75%、腺がんは約20%を占めます。この20年間で腺がんの発生は約2倍に増加しているのに対し、扁平上皮がんは減少傾向にあります。この原因はよくわかっていませんが、腺がんは扁平上皮がんに比べて早期発見が難しい上に、治療が効きにくい傾向にあります。早期発見が難しい理由には、腺がんの発生部位が、子宮のより上方(体部寄り)にあるため、子宮頸がん検診などでは異常が出にくいと考えられています。また腺がんは扁平上皮がんに比べて治療抵抗性の傾向がありますが、現在のところ腺がん独自の治療法はなく、扁平上皮がんと同様の治療を行っているのが現状です。ただし当科においては、Ⅰ期とⅡ期の腺がんに対しては、積極的に手術療法を行っています。

子宮頸がんは前がん状態である異形成と浸潤がんに分けられ、浸潤がんの進行期はⅠ期からⅣ期までに大別されます。Ⅰ期はがんが子宮頸部に限局するもの、Ⅱ期はがんが子宮頸部外に進展しているが骨盤や腟の下方には達していないもの、Ⅲ期はⅡ期のがんが骨盤や腟の下方に達してしまっているもの、Ⅳ期はがんが周辺臓器(膀胱や直腸)や他臓器へ転移しているもの、と定義されています。Ⅰ期からⅣ期までのがんは、その進展状況によりⅠA、ⅠBのようにさらに細分化されます。子宮頸がんは治療を行うに際して、まずは進行期を決定する必要があります。進行期を決定した後に、それに見合った治療法を決定します。

最近では若年者の子宮頸がんも増加しています。20歳代の異形成の増加により妊娠の経験がない方や妊娠初期に見つかることもあり、30歳代での子宮頸がんの死亡例も増えており、40歳未満の女性では子宮頸がんが最も頻度が高いがんです。若年者の子宮頸がんが増加している原因には、初交年齢の若年化があげられます。

診断

子宮がん検診(細胞診検査)を先ず行います。子宮がん検診で異常が見つかった場合、拡大鏡を使って子宮頸部を観察するコルポスコピー検査を行い異常所見を認めた部位より組織診検査(生検)を行います。この結果が確定診断となります。
子宮頸がんの診断が付いた後は、先にも述べたように進行期決定のための検査が必要となります。

1. 胸部レントゲン検査(肺転移の有無を確認します)

2. 尿路造影検査(造影剤を用いて腎臓や尿管の状態を確認します)

3. 膀胱鏡検査(カメラを使って膀胱内を診察、がん転移の有無を確認します)

4. 大腸内視鏡検査(大腸内視鏡を使って直腸転移の有無を確認します)

5. CT検査、MRI検査(浸潤や転移の有無確認のために有用です)

治療

子宮頸がんの主治療は、手術、放射線療法であり、化学療法も補助的に用いられます。進行期や組織型によって治療方針が異なります。

1.外科治療

子宮頸部高度異形成の状態では子宮頸部円錐切除(子宮の出口を円錐状に切り取る)、もしくはCO2レーザー蒸散術(子宮の出口をレーザーで焼灼する)という子宮本体を温存することが可能です。浸潤がんでは子宮摘出術を基本とします。この子宮摘出術は、単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術に大別されます。切除する範囲が異なり、単純子宮全摘術より準広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘術より広汎子宮全摘術と、手術の侵襲度合が増していくため術後の合併症も発生しやすい状況になります。また進行したがんに対しては、リンパ節摘出術も必要となります。
1A期のがんでもその後の妊娠を希望される場合には、子宮頸部円錐切除術を行うこともあります。また当科では採用はしていませんが、腫瘤の大きさが2cm以下の1B期症例に対して子宮を温存するために子宮頸部切断術という手術を行う施設もあります。

2.放射線治療

扁平上皮がんに対する放射線治療は効果が期待できるため、子宮頸がんの治療法として有効なものです。手術後の追加治療として、ⅡB期以上の進行癌に対して、合併症などがあり手術が出来ない場合や再発がんに対してなどに放射線治療は行われます。

3.化学療法

手術後の追加治療として、あるいは既に遠隔転移を起こしていたり(ⅣB期)、再発した場合に化学療法を行うことがあります。また放射線治療の補助として、用いることもあります。

治療成績

当科における子宮頸がんの進行期別生存率を表したグラフを示します。

院内がん登録情報

2013年に久留米大学病院に初発で受診され、当院で初回の治療を受けた子宮頸がんの患者さんは92例です。ステージ0とⅠの症例が多くを占めています。

久留米大学病院で治療を受けた患者さんの進行度をUICCのTNM悪性腫瘍の分類に従った集計を示しています。治療は、ステージ0やⅠの早期症例には手術単独療法が多く、進行すると放射線治療や薬物療法が併用されています。

担当部門と専門医

部門 担当医 外来診療
産婦人科 牛嶋公生 月・水曜日午前
駒井 幹 月・金曜日午前、金曜日午後
園田豪之介
河野光一郎 水曜日午前
津田尚武 金曜日午前
西尾 真 月曜日午前
田崎和人
放射線科 角 明子
病理学 眞田咲子
病理部 山口知彦

患者さんご紹介の際には「紹介予約センター」をご利用ください。
予約専用フリーダイヤルTEL:0800-200-4897、FAX:0800-200-9489
紹介予約センター直通TEL:0942-27-5673、FAX:0942-31-7897

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