がん治療への各種取組み がんに関する診療実績(院内がん登録)

血液がん

血液がんの診断、治療、経過観察への流れがわかります。また、久留米大学病院の血液がん診療の実績と特徴を記載しています。

急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia: AML)

はじめに

白血病は血液のがんです。血液の幹となる細胞から血液が育つ途中で、血液細胞が異常を起こして無秩序に増え、健康な血液が作られなくなる病気です。 異常な白血病細胞による発熱、正常な血液細胞の減少による、易感染性、発熱、倦怠感、出血傾向などが主な症状です。多くの患者さんは、発熱、血が止まらない、疲れやすい、などの症状で病院を受診し、採血結果から、正常な血液細胞の減少、異常な白血球の出現などから、白血病を疑われます。

診断

急性骨髄性白血病の正確な診断には、採血と骨髄の検査(骨髄穿刺、骨髄生検)が必要となります。形態学的・免疫組織学的検査やフローサイトメトリー、染色体検査、遺伝子検査によって白血病の細かな分類(FAB分類、WHO分類)が行われます。

治療

急性骨髄性白血病の治療は、全身にがん細胞が流れているため、手術や放射線などで治すことは困難であり、抗癌剤を用いた化学療法が基本となります。化学療法は寛解導入療法、強化療法、維持療法の三つに分けることが出来ます。

1.寛解導入療法

白血病細胞が減少し、正常の血液が回復し、顕微鏡で検査しただけでは異常が分からなくなる状態を寛解といいます。寛解状態にする治療を寛解導入療法といいます。抗癌剤投与は通常1週間です。投与後、正常造血が回復するまでに治療開始から約1ヶ月を要します。

2.強化療法(地固療法ともいいます)

寛解導入療法で寛解になったら、血液検査では一見正常化しますが、体の中には依然相当量の白血病細胞が残存しています。放置していると残存した白血病細胞は徐々に増加して臨床的な再発につながります。そこで残存した白血病細胞を0に近づける(Total cell kill)ために行う抗癌剤投与が強化療法です。寛解導入療法と同程度またはそれ以上の強力な抗癌剤投与を行います。

3.維持療法

強化療法が終了した後、維持療法を開始します。維持療法は比較的弱い抗がん剤の投与を長期間行います。急性骨髄性白血病では、維持療法が行われないことがあります。

移植治療の可能性について

当科では、自己末梢血幹細胞移植、同種造血幹細胞移植、臍帯血移植などを積極的に行っています。診断時の白血病の性質、化学療法に対する白血病の反応性などの患者さんの病気の状態に応じて、移植治療を提案する可能性があります。

急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia: ALL)

はじめに

白血病は血液のがんです。血液の幹となる細胞から血液が育つ途中で、血液細胞が異常を起こして無秩序に増え、健康な血液が作られなくなる病気です。 異常な白血病細胞による発熱、正常な血液細胞の減少による、易感染性、発熱、倦怠感、出血傾向などが主な症状です。多くの患者さんは、発熱、血が止まらない、疲れやすい、などの症状で病院を受診し、採血結果から、正常な血液細胞の減少、異常な白血球の出現などから、白血病を疑われます。

診断

急性リンパ性白血病の正確な診断には、採血と骨髄の検査(骨髄穿刺、骨髄生検)が必要となります。形態学的・免疫組織学的検査やフローサイトメトリー、染色体検査、遺伝子検査によって白血病の細かな分類(FAB分類、WHO分類)が行われます。成人急性リンパ性白血病の30~50%にフィラデルフィア染色体(Ph染色体)と名前の付いた、染色体異常が見られます。フィラデルフィア染色体によって生じるbcr-abl融合蛋白の働きを阻害する分子標的治療薬「イマチニブ」および「ダサチニブ」というお薬が、慢性骨髄性白血病、およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療にとても有効なことがわかりました。

治療

急性リンパ性白血病の治療は、全身にがん細胞が流れているため、手術や放射線などで治すことは困難であり、抗癌剤を用いた化学療法が基本となります。化学療法は寛解導入療法、強化療法、維持療法の三つに分けることが出来ます。

1.寛解導入療法

白血病細胞が減少し、正常の血液が回復し、顕微鏡で検査しただけでは異常が分からなくなる状態を寛解といいます。寛解状態にする治療を寛解導入療法といいます。抗癌剤投与は通常1週間です。投与後、正常造血が回復するまでに治療開始から約1ヶ月を要します。

2.強化療法(地固療法ともいいます)

寛解導入療法で寛解になったら、血液検査では一見正常化しますが、体の中には依然相当量の白血病細胞が残存しています。放置していると残存した白血病細胞は徐々に増加して臨床的な再発につながります。そこで残存した白血病細胞を0に近づける(Total cell kill)ために行う抗癌剤投与が強化療法です。寛解導入療法と同程度またはそれ以上の強力な抗癌剤投与を行います。

3.維持療法

強化療法が終了した後、維持療法を開始します。維持療法は比較的弱い抗がん剤の投与を長期間、原則として寛解導入療法開始後2年目の日まで行います。強力な化学療法のみを行い、維持療法を行わないと急性リンパ性白血病の再発が増加します。維持療法は重要な治療の一部です。

移植治療の可能性について

当科では、同種造血幹細胞移植、臍帯血移植などを積極的に行っています。診断時の白血病の性質、化学療法に対する白血病の反応性などの患者さんの病気の状態に応じて、移植治療を提案する可能性があります。

多発性骨髄腫 (multiple myeloma: MM)

はじめに

多発性骨髄腫は血液細胞の1つである形質細胞が「がん化」して増殖し、種々の症状を引き起こす病気です。形質細胞は白血球の一種であるリンパ球が分化・成熟した細胞で、健康な人の体内では病原菌から体を守る免疫グロブリン(抗体)というタンパク質を作る働きをしています。多発性骨髄腫では、骨の中にある骨髄のあちこちで(多発性)がん化した形質細胞が増殖し、Mタンパクと呼ばれる異常な免疫グロブリンを産生・分泌します。 この病気の原因はまだ分かっていませんが、患者の多くは60歳以降の高齢者であり、加齢がリスク因子であることは明らかです。一般には年単位でゆっくりと進行する慢性の経過をとる病気ですが、個人差があり、急速に進行・悪化する場合もあります。

症状

最も多い症状は背中や腰の痛みです。多発性骨髄腫は骨を侵すため骨が脆くなり骨折しやすくなるからです。また骨が侵された結果、骨に含まれているカルシウムが血液に溶け出して血中カルシウム濃度が異常に高くなる高カルシウム血症も見られます。貧血による倦怠感、腎機能低下も頻度の高い症状です。この4つの症状は骨髄腫の代表的な症状で、頭文字(Calciumの高カルシウム血症のC、Renal insufficiency=腎障害のR、Anemia=貧血のA、Bone lesion=骨病変のB)をとってCRABと呼ばれます。CRABの他、体の免疫力が低下して感染症にかかりやすくなる、血液中のM蛋白が増えて血液がドロドロになり血行障害を来す過粘稠症候群などの症状も見られます。

診断

血液もしくは尿に、Mタンパクが存在することを検査します。さらに、骨髄穿刺を行い、骨髄中に骨髄腫細胞というがん細胞が増加していることから、多発性骨髄腫の診断が確定します。

病期

M蛋白の量や、CRAB症状の有無などで決める Durie & Salmon 分類、血清アルブミンとβ2ミクログロブリンの量で決める国際臨床病期分類があります。

治療

骨髄腫は進行こそゆっくりですが、完治が困難な病気です。したがって治療の目標は病気の進行を抑え、症状を和らげることです。他の血液がんの治療同様、骨髄腫の治療にも化学療法と放射線療法が用いられます。以前はMP療法(メルファランとプレドニゾロンの併用)が標準的治療でしたが、その後新規薬剤が登場し骨髄腫の治療はここ10年で大きく様変わりしています。現在日本で使用できる新規薬剤はサリドマイド、ボルテゾミブ、レナリドミドなどが使用できます。これらの新規薬剤を治療開始早期から積極的に使用することで治療成績が向上することが分かっています。骨髄腫は高齢者に多い病気ですが、その中で比較的年齢が低く、全身状態が良好な患者では自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法が、標準的な治療として行われます。

造血幹細胞移植

はじめに

主に血液がんに対して、行う治療です。通常の抗がん剤治療では治りにくい患者さんが対象です。造血幹細胞移植は、自分の造血幹細胞を使用する自家移植、兄弟姉妹、骨髄バンク、臍帯血バンクなどから提供していただいた造血幹細胞を使用する同種移植に分かれます。

自己末梢血幹細胞移植について

多くの抗癌剤は使用する量を増やすことによって治療効果が高くなることが知られていますが、多くは骨髄(骨の中にある白血球や赤血球や血小板などの血液細胞を造る工場)に対する毒性のため、一定量以上を使用することができません。そこで自己造血幹細胞(自分の血液のもとになる細胞)を予め採取して保存しておき、大量の抗がん剤による治療後に解凍し、点滴により体に戻すことによってこの骨髄毒性を回避し、大量の抗がん剤の使用が可能となります。これを自己造血幹細胞移植併用大量化学療法と呼びます。

1.自己末梢血幹細胞移植の実際
自己末梢血幹細胞採取移植を行うにあたり、まず患者さん自身から造血幹細胞を採取し、冷凍保存する必要があります。抗がん剤治療後の白血球減少から回復する時期、もしくは白血球を増加させる顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を使用して、血液成分分離装置を用いてゆっくり時間をかけて(通常は3~4時間)血液を循環させ、造血幹細胞を分離採取します。採取された造血幹細胞は、冷凍保存します。9割以上の患者さんで移植に必要な末梢血幹細胞を採取することが可能ですが、一部の患者さんで充分量の末梢血幹細胞が採取できないことがあります。自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法末梢血幹細胞採取後の病状や末梢血幹細胞採取状況等により、大量化学療法に移ります。大量の抗がん剤投与を行い悪性腫瘍の根絶を図った後、冷凍保存しておいた自己末梢血幹細胞を解かして、点滴投与します。これを移植といいます。移植後2週間以内に好中球が回復し、その後赤血球および血小板も回復します。

同種造血幹細胞移植について

同種造血幹細胞移植は、造血臓器である骨髄の欠陥に基づく白血病などの難治性疾患、もしくは造血器疾患以外の悪性腫瘍を治療するために用いられます。 レシピエント(ホスト)である患者の骨髄を正常ドナーの造血幹細胞で置き換える置換療法です。同種造血幹細胞移植は他の臓器移植(腎、心、肺、肝臓など)とは大きく異なり、移植されるのは造血幹細胞を含む骨髄液、末梢血幹細胞、もしくは臍帯血であり、移植は、実際は骨髄液や末梢血幹細胞の輸注です。骨髄液や末梢血幹細胞には、造血幹細胞だけでなく免疫担当細胞であるリンパ球も含まれるため、移植片拒絶(graft rejection)を免れても、移植片対宿主病(graft versus host disease: GVHD)が生じる可能性があります。生着したドナー由来造血幹細胞は、レシピエントの骨髄で分化増殖、自己複製を維持し造血組織を再構築されます。生着後は免疫系もドナー由来の造血幹細胞から分化した免疫担当細胞によって再構築されるので、固形臓器移植後と異なり長期間の免疫抑制療法が不要となることがあります。

1.同種造血幹細胞移植の実際
ドナーとしては、原則的にHLA-A, -B, -DRが遺伝的に一致する同胞が選択されます。HLA適合ドナーが得られない場合は骨髄バンクや臍帯血バンクを介した非血縁HLA適合ドナー、場合によってはHLAが完全には一致していない血縁ドナーからの移植が可能です。移植前治療の目的は、移植片拒絶を防止することですが、白血病など悪性腫瘍患者の場合はレシピエント内の残存腫瘍細胞を根絶する目的も加わり、強力な化学療法、放射線化学療法が実施されます。具体的には、フルダラビン、シクロフォスファミド、ブスルファンなどの抗がん剤や全身放射線照射などが用いられます。移植前治療終了後、ドナーからの造血幹細胞を点滴します。移植後は急性GVHD予防のためにメソトレキサート(MTX)、シクロスポリン(CyA)、タクロリムス(FK506)、などによる免疫抑制療法を原則的に6~12ヶ月施行します。

悪性腫瘍の治療

悪性腫瘍の治療としては、 移植前治療の大量放射線化学療法による抗腫瘍効果と 移植後のドナー由来のリンパ球が悪性腫瘍を攻撃する免疫学的効果の二つの作用があります。移植をしない抗癌剤治療よりも抗腫瘍効果は高いと考えられますが、反面、種々の副作用もあり、移植特有の合併症の克服が重要な問題です。移植中は、精神的および肉体的に種々の負担がかかります。これを軽減するために、緩和ケアやリハビリテーションを積極的に行います。

院内がん登録情報

2013年に久留米大学病院に初発で受診され、当院で初回の治療を受けた血液がんの患者さんは107例です。治療は薬物療法が主に行われています。

担当部署と専門医

部門 担当医 外来診療
血液・腫瘍内科 長藤宏司 月曜日午前
毛利文彦 水曜日午前・午後
放射線科(治療センター) 淡河恵津世 木曜日午前・午後
病理学 大島孝一

患者さんご紹介の際には「紹介予約センター」をご利用ください。
予約専用フリーダイヤルTEL:0800-200-4897、FAX:0800-200-9489
紹介予約センター直通TEL:0942-27-5673、FAX:0942-31-7897

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